令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 7~9
令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題
【特許・実用新案】7
特許法に規定する審判に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ)
拒絶査定不服審判において口頭審理が行われる場合、その口頭審理は必ず公開して行 われる。
〇
×
- 原則、口頭審理は公開
(145条5項本文)
。 - 公序良俗に反する場合、公開しない
(同項但書き)
。 - 侵害訴訟の場合、営業秘密にかかわるときは、公開停止される場合がある
(105条の7)
。
(ロ)
訂正審判は、3人又は5人の審判官の合議体が行い、合議体の合議は、過半数により 決する。
〇
- 規定通り
(136条1項)
。
(ハ)
特許無効審判において、審判長は、当事者又は参加人が申し立てない理由について審 理したときであっても、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指 定して、意見を申し立てる機会を与えない場合がある。
×
- 必ず与えられる
(153条2項)
。
(ニ)
審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であってその補 正をすることができないものについては、審決をもってその手続を却下することができ る。
×
- 審判長は、決定をもって手続きを却下することができる
(133条の2第1項)
。
(ホ)
特許を受ける権利の共有者が共同でした出願に対し、拒絶をすべき旨の査定がなされ、 拒絶査定不服審判の請求をする場合、代表者を定めて特許庁に届け出ていたときは、出 願人全員が共同して審判の請求をしなくとも、代表者が審判の請求をすることができる。
×
- 拒絶査定不服審判は不利益事由であり、出願人全員が共同して審判請求しなければならない
(14条)
。
【特許・実用新案】8
特許法に規定する手続に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ)
特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、特許 出願について出願審査の請求をすることができる期間を延長することができる。
×
- 出願審査の請求は、4条の規定事項ではない。
(ロ)
日本国内に住所又は居所を有する者であって手続をするものの委任による代理人は、 特別の授権を得なければ、特許法第41 条第1項に規定する優先権の主張を伴う特許出 願をすることはできない。
〇
- 9条の規定通り。
(ハ)
特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと 認めるときは、その改任を命ずることができる。また、改任の命令をした後に当該適当 でないと認める代理人が特許庁に対してした手続は、特許庁長官又は審判長によって却 下される場合がある。
×
〇
審判官が解任を命じる。13条2項、4項の規定通り。- 審判官は、受継命令
(23条1項)
、及び受継の擬制(同条2項)
を行う。
(ニ)
特許庁長官又は審判官は、中断した審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、 審判又は再審の手続を受け継ぐべき者が受継を怠ったときは、申立てにより又は職権で、 相当の期間を指定して、受継を命じなければならず、指定した期間内に受継がないとき は、受継を命じた日に受継があったものとみなすことができる。
〇
×
- 指定期間の経過後に受継があったものとみなすことができる
(23条2項)
。
(ホ)
拒絶理由の通知に対する意見書を特許出願人が郵便により提出し、日本郵便株式会社 の営業所に差し出した日時を郵便物の受領証により証明できない場合、その郵便物の通 信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であって時刻が明瞭でないときは、 当該意見書は、表示された日の午後12 時に特許庁に到達したものとみなされる。
×
〇
表示された日の午前12時に到達したものとみなされる。19条の規定通り。
【特許・実用新案】9
特許権等について、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものの組合せは、どれか。
(イ)
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなけ ればならないが、願書に添付した明細書の記載、図面及び要約書の記載を考慮して、特 許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
×
- 要約書の記載を考慮したはならない
(70条3項)
。
(ロ)
特許法上の規定によれば、第1年から第3年までの各年分の特許料の納付がなくても 特許権の設定の登録がされる場合がある。
〇
- 免除の場合がありえる
(108条1項)
(66条2項)
。
(ハ)
甲が自己の特許権について、乙に対して専用実施権を設定し、その登録がされた後に、 乙が甲の承諾を得て丙に対してその専用実施権について通常実施権を許諾した。この場 合に、丙が、その通常実施権について質権を設定するためには、甲及び乙の承諾を得な ければならない。
〇
- 94条2項かっこ書きの規定通り。
(ニ)
甲が自己の特許権について、乙に対して通常実施権を許諾した後、乙が甲の承諾を得 て丙に対してその通常実施権について質権を設定した場合、丙がその質権を実行し、そ の通常実施権を丁に移転するためには、甲の承諾を得なければならない。
×
- 通常実施権者乙が、特許権者甲に質権を設定する旨の承諾を得る
(94条2項)
ときに、質権の実行についても承諾を得ていると考えられるため、質権実行時に、再度承諾は不要となる。
(ホ)
請求項1及び請求項2に係る特許権を有する者甲が、その特許権の全部の範囲につい て、乙に対して専用実施権を設定し、その登録がされている場合、甲は乙の承諾を得た としても、請求項1に係る特許権のみを放棄することはできない。