平成30年度弁理士試験論文式筆記試験問題 [意匠]

平成30年度弁理士試験論文式筆記試験問題 [意匠]

【問題Ⅰ】

意匠法において、一つの意匠として認められるものを、意匠法第2条その他の関係する 条文に照らして説明せよ。 ただし、いわゆる画像意匠には言及しないものとする。 【40点】

解答例

1. 意匠について

 意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう(2条1項)
 物品とは、有体物、定形性、取引性を有するものである。有体物とは動産であり、不動産である建物や神社は該当しない。定形性とは個体物をいい、液体などの形の変わるものは該当しない。

2. 部分意匠について

 意匠の部分についても、部分意匠として一つの意匠として認められる(2条1項かっこ書き)。具体的には、1.意匠法の対象とする物品と認められ、2.当該物品全体の形態の中で一定の範囲を占める部分であり、3.当該物品において、他の意匠と対比する際に対象となりえる部分である。
 部分意匠は、それ単体で取引性を有していないため、一つの意匠とは認められていなかった。

  • しかし、独創的なデザインの部分を有する意匠が存在するところ、その部分を模倣する意匠について権利行使することができないという問題があった。
  • しかし、独創的で特徴のある部分を取り入れつつ意匠全体で侵害を避ける巧妙な模倣が増加し、十分にその投資を保護することができないものとなっていた(青本 2条)

 そこで、そのような模倣に対する対抗措置として、意匠の部分についても一つの意匠とし、保護対象となるように規定することとした。

3. 組物の意匠について

 同時に使用される二以上の物品であっても、要件を満たすことで、一つの意匠として認められる(8条)
 「システムデザイン」や「セットもののデザイン」がデザイン創作活動の実態としてよく見られるようになってきていたことを踏まえ、産業活動の実態に合わせそれらを適切に保護するために規定することとした(青本 8条)。  組物の意匠として認められるためには、その物品は、経済産業省令で定めるものに限定されている。また、組物全体として統一がある必要がある。組物全体として統一があると認められる類型として、1.構成物品の形態が、同じような造形処理で表されていることにより統一があること、2.全体として一つのまとまった形状又は模様を表すことにより統一があること、3.物品の形態により物語性などが観念的に関連がある印象を与えることにより統一があること、が挙げられる。

4. 動的意匠について

 動的意匠とは、意匠に係る物品の形態がその物品の有する機能に基づき変化する意匠である(6条4項)
 形状が変化する意匠があるところ、その形状の異なる状態ごとに意匠登録を受けるために出願することは煩わしい。
 そのため、そのように変化する意匠を一つの意匠と認めるよう規定している(青本 6条4項)

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 商標 7~10

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【商標】7

商標権の効力等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

登録商標A(色彩のみからなる登録商標を除く。以下本枝において同様とする。)に 類似する商標であって、色彩を登録商標Aと同一にするものとすれば登録商標Aと同一 の商標であると認められる商標Bであっても、登録商標Aとは同一ではなく類似する商 標なので、商標権者は、商標Bに関し、登録商標Aに係る商標権についての専用使用権 を設定することができない。

×

  • 色違い類似商標の規定(70条1項)において、専用使用権の設定の登録の規定(30条1項)は、含まれていないため、色違い類似商標について、専用使用権を設定することはできないと思っていたが、できるらしい
  • 専用使用権者は、色違い類似商標を使用することができる(70条1項で、30条2項を準用)
  • 他の枝との関係で、正誤を決めるしかないようにも思う。

指定商品に類似する商品についての登録商標の使用は商標権又は専用使用権を侵害す るものとみなされるところ、商品の類否は、商品自体が取引上誤認混同のおそれがある かどうかを基準として判断すべきであって、商品の出所についての誤認混同のおそれが あるかどうかを判断基準とする必要はない。

×

  • 指定商品の類否は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められるものであるかどうかということにより判定すべきものと解する。商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定するべきではない(橘正宗事件)

最判S36.6.27「橘正宗事件」

 商標が類似のものであるかどうかは、その商標を或る商品につき使用した場合に、 商品の出所について誤認混同を生ずる虞があると認められるものであるかどうかと いうことにより判定すべきものと解するのが相当である。そして、指定商品が類似 のものであるかどうかは、原判示のように、商品自体が取引上誤認混同の虞がある かどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製 造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用 するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められ る関係にある場合には、たとえ、商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないもので あつても、それらの商標は旧商標二条九号(商37条1号)にいう類似の 商品にあたると解するのが相当である

  • 商品「清酒」と「焼酎」は、取引上混同のおそれがないが、出所については誤認混同のおそれがある。つまり、同じ会社が清酒も焼酎も作っていると思いたくなる。

指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であって、その商品又はその 商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを所持する行為は、その商 標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出するという目的がある場合に限り、商標権又は 専用使用権を侵害するものとみなされる。

×

  • 37条2号の規定通りである。

登録商標を印刷する以外に用いることができない紙型を業として製造する行為は、そ の紙型を譲渡、引渡し又は輸出するという目的がある場合に限り、商標権又は専用使用 権を侵害するものとみなされる。

×

  • 登録商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引渡し、又は輸入する行為は、侵害とみなされる(37条8号)
  • 紙型を業として製造する行為は、その紙型を譲渡、引渡し又は輸出するという目的がある場合に限らず、侵害とみなされる。
  • 紙型を業として輸出する行為は、侵害とみなされない。輸出行為は、商標の使用行為である(2条3項2号)、輸出行為自体は、侵害とはみなされない。輸出のために所持する行為が、侵害とみなされる場合がある(37条2号)

指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受 ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用 いて当該役務を提供するために所持する行為は商標権又は専用使用権を侵害するものと みなされるが、これを用いて他人に当該役務を提供させるために譲渡する行為は商標権 又は専用使用権を侵害するものとみなされることはない。

×

  • 役務を提供するために所持する行為は侵害とみなされる(37条3号)
  • 他人に役務を提供させるために譲渡する行為も侵害とみなされる(37条4号)

【商標】8

商標権等の分割、移転、存続期間等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いく つあるか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)

防護標章登録に基づく権利については、その存続期間の更新登録の出願が存続期間の 満了後6月以内にされたものであるときは、登録料のほか登録料と同額の割増登録料を 納付することにより、その存続期間を更新することができる。

×

  • 後期分割登録料の納付期間の経過後6月以内にその登録料を追納することができる(41条の2第5項)。また、割増登録料を納付しなければならない(43条3項)
  • 防護標章登録について、存続期間の満了後6月以内に追納できるという規定はない。
  • 防護標章登録の更新登録出願について、正当理由がある場合、経済産業省令で定める期間内に限り、その出願をすることができる(65条の3第3項)
  • 防護標章登録の登録料納付について、割増登録料の規定(43条)は準用されていない。

(ロ)

商標権の設定登録時に登録料が分割して納付された場合、商標権の存続期間は設定登 録の日から5年で満了するとみなされる。

×

  • 商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもって終了する(19条1項)
  • 分割納付の場合、5年で満了するという規定はない。

(ハ)

商標権者甲は、自己の商標権について指定商品又は指定役務が2以上ある場合であっ て、他人乙に専用使用権を設定していたときは、その商標権を分割するに当たり、乙の 承諾を得なければならない。

×

  • 商標権の分割に当たり、使用権者の承諾が必要という規定はない(24条)
  • 商標権の分割は、商標権の移転に近い。移転についても、使用権者の承諾は必要ない。
  • 商標権の放棄については、使用権者の承諾が必要(35条で特97条1項を準用)

(ニ)

商標権の存続期間の更新登録の申請においては、利害関係人は、納付すべき者の意に 反しても、登録料を納付することができる。

×

  • 利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料を納付することができる(41条の5第1項)
  • 更新登録の申請と同時に納付すべき登録料は、商標権者のみすることができる(同項かっこ書き)。商標権者のみ処分権原を有するため。

(ホ)

公益に関する事業であって営利を目的としないものを行っている者が登録を受けた その事業を表示する標章であって著名なものと同一の商標に係る商標権は、その事業と ともにする場合を除き、一切移転することができない。

  • 24条の2第3項の規定の通り。

【商標】9

商標の審判に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

拒絶査定に対する審判係属中に指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けよう とする商標が補正され、当該補正に対して補正の却下の決定がされた場合、請求人は、 これに不服があるときは、その決定の謄本の送達があった日から3月以内に審判を請求 することができる。

×

  • 拒絶査定不服審判における補正の却下決定に対して(55条の2第3項において準用する16条の2)、不服があるときは、訴訟を提起することができる(63条1項)
  • 補正却下の決定の謄本の送達日後、30日以内に訴訟を提起することができる(63条2項で準用する特178条3項)

登録商標が、その商標登録がされた後、商標登録の無効の審判の請求時までに、地方 公共団体を表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標に該当するものと なっているときは、それを理由として当該審判を請求することができる。

×

  • 4条1項6号の無効理由は、後発無効ではないため(46条1項6号)、商標登録がされた後に該当することとなった場合、無効審判を請求することができない。
  • 4条1項5号の無効理由は、後発無効である。無効審判の請求時までに、無効理由に該当していれば、無効審判を請求することができる。
  • 46条1項6号の規定は、「該当するものとなっているとき」であるため、審判請求時においても継続して該当することを審判請求時の要件として明確にしている(青本 46条)

商標法第51 条第1 項の審判(商標権者の不正使用による商標登録の取消しの審判) 及び商標法第53 条第1 項の審判(使用権者の不正使用による商標登録の取消しの審判) において、商標登録に係る指定商品又は指定役務が2以上のものについては、その一部 の指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求すること ができる。

×

  • 制裁規定のため、商標登録自体が取り消される。
  • 不使用取消し審判(50条)は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消す。

商標権者が、指定商品について、登録商標(色彩のみからなる登録商標を除く。以下 本枝において同様とする。)に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするも のとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを使用して、故意に他人の業 務に係る商品と混同を生じさせたとしても、商標法第51 条第1項の審判(商標権者の 不正使用による商標登録の取消しの審判)により、当該商標登録が取り消されることは ない。

  • 51条の取消し審判は、禁止権の範囲による商標の使用をした場合に該当する。色違い類似商標の使用は、専用権の範囲による商標の使用のため、51条の取消し審判には該当しない(70条3項)

商標登録の取消しの審判の審決に対しての訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とし、 特許庁長官を被告としなければならない。

×

  • 当事者対立構造をとることができるため、被告は取消し審判の請求人又は被請求人となる(63条2項で読み替え準用する特179条)

【商標】10

マドリッド協定の議定書に基づく特例のうち、議定書第6条(4)に規定する、いわゆ る「セントラルアタック」により国際登録が取り消された後の商標登録出願に関連して、 次のうち、誤っているものは、どれか。

当該商標登録出願が、国際登録に係る商標権であったものについての音の商標に係る 商標登録出願であって、商標法第5条第4項に規定するその商標の詳細な説明が、商標 登録を受けようとする音の商標の内容を特定するものでないときは、それを理由として 当該出願は拒絶される。

  • 68条の34第2項の規定により、15条3号については審査される。
  • 5条4項に規定する商標の詳細な説明の記載が、商標登録を受けようとする商標を特定するものでないとき、拒絶される(15条3号、5条4項、5項)

当該商標登録出願が、国際登録に係る商標権であったものについての商標登録出願で あっても、商標法第15 条第2号にいう条約の規定により商標登録をすることができない ものであるときは、それを理由として当該出願は拒絶される。

×

  • 68条の34第2項の規定により、15条2号については審査されない。
  • 無効理由である(46条1項2号)

当該商標登録出願について、商標権の設定の登録がされた場合、当該商標権の存続期 間は、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(当該国際登録の存続期間の更新がされ ているときは、直近の更新の日)から10 年をもって終了する。

  • 68条の36第1項の規定の通りである。

当該商標登録出願が、パリ条約第4条の規定による優先権が認められていた国際登録 出願に係るものであるときは、その商標登録出願につきその優先権による利益を享受す るために、出願人は、その旨並びに第一国出願をしたパリ条約の同盟国の国名及び出願 の年月日を記載した書面を特許庁長官に提出する必要はない。

  • 68条の32第3項の規定の通りである。

当該商標登録出願が、国際登録の日にされたものとみなされるためには、国際登録が 取り消された日から3月以内に商標登録出願をしなければならないが、議定書第15 条 (5)(b)に規定する、議定書の廃棄後の商標登録出願が、国際登録の日にされたも のとみなされるためには、廃棄の効力が生じた日から2年以内に商標登録出願をしなけ ればならない。

  • 68条の32第2項1号、68条の33第2項の規定の通りである。

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 商標 4~6

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【商標】4

防護標章に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)

防護標章登録に基づく権利は、その防護標章登録に基づく権利を伴う商標権を指定商 品ごとに分割したときは消滅し、当該商標権を移転したときは、その商標権に従って移 転する。

  • 66条1項、2項の規定の通り。

(ロ)

地域団体商標の商標権者は、その登録商標を商標権者自身が使用をしていなくても、 その構成員の業務に係る指定商品を表示するものとして当該登録商標が需要者の間に広 く認識されている場合には、その登録商標と同一の標章について、防護標章登録を受け ることができる。

  • 64条3項の規定通りである。

周知性を獲得する者の要件

7条の2 地域団体商標

  • 自己又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして周知性があること。

64条1項 防護標章登録

  • 自己の業務に係る指定商品を表示するものとして周知性があること。
  • 使用権者の業務に係るものとして周知性があってもダメである。

64条3項 地域団体商標に係る防護標章登録

  • 自己又はその構成員の業務に係る指定商品を表示するものとして周知性があること。

(ハ)

防護標章登録を受けるためには、他人が当該登録商標の使用をすることにより商品又 は役務の出所の混同を生ずるおそれがあることを必要とし、当該登録商標に係る指定商 品が2以上ある場合には、そのうちの1又は2以上の商品について「混同のおそれ」が あれば足りる。

  • 商標権に係る指定商品が2以上ある場合には、そのうちの1又は2以上の商品について「混同のおそれ」があれば足り、必ずしも指定商品の全てについて、ある非類似商品と混同を生じることを要しない(青本 64条)

(ニ)

防護標章登録の要件(商標法第64 条)を具備しないことを理由とする無効の審判は、 その防護標章登録に基づく権利の設定の登録の日から5年を経過した後も、請求するこ とができる。

  • 5年の除斥期間は、使用による信用が化体するための期間として定められている(47条)
  • 防護標章登録は、使用を前提としないため、5年の除斥期間は規定されていない。

(ホ)

防護標章登録に基づく権利の設定の登録を受ける者、及び、防護標章登録に基づく権 利の存続期間を更新した旨の登録を受ける者は、商標法第65 条の7に規定される登録 料を分割して納付することができない。

【商標】5

設定の登録前の金銭的請求権(商標法第13 条の2)に関し、次のうち、正しいものは、 どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

商品に係る登録商標についての防護標章登録出願は、その登録商標に係る指定商品及 びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務を指定商品又 は指定役務とするものであるから、その防護標章登録出願人は、当該出願に係る標章と 同一の商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の 金銭の支払を請求することができない。

×

×

  • 商標に関する規定の準用において、損害額の推定等の規定(38条)を準用していない。よって、使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払いを請求することができない。 ←金銭的請求権を行使できるかどうかを問うているため、解説として間違っている。
  • 防護商標登録出願は、13条の2の金銭的請求権の規定を準用しているため(68条1項)、要件を満たせば、権利行使することができる。

設定の登録前の金銭的請求権に基づく金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定 した後に、当該商標登録を無効にすべき旨の審決が確定し、その金銭的請求権が初めか ら生じなかったものとみなされた場合、当該訴訟の当事者であった者は、当該終局判決 に対する再審の訴えにおいて、当該無効審決が確定したことを主張して、既に支払った 金銭の返還を請求することができる。

×

  • 38条の2第1号の規定の通り、既に支払った金銭の返還を請求することはできない。

設定の登録前の金銭的請求権は商標権の設定の登録があった後でなければ行使するこ とができないところ、当該金銭的請求権に基づく金銭の支払の請求に係る訴訟は商標権 侵害訴訟ではないから、当該訴訟において、被告は、商標権者である原告に対し、当該 商標権に係る商標登録が無効であることを抗弁として主張することは商標法上認められ ていない。

×

  • 39条により、特104条の3第1項の規定が準用されているため、無効の抗弁を主張することは商標法上認められている。

商標登録出願人が、商標登録出願をした後に当該出願に係る商標を使用していない場 合であっても、当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その 警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について、当該出 願に係る商標の使用をした者に対し、常に、当該使用により生じた業務上の損失に相当 する額の金銭の支払を請求することができる。

×

  • 商標法は、業務上の信用を保護するためのものであり、使用していない商標については保護されず、金銭的請求権を行使することはできない(13条の2第1項)
  • 登録商標に顧客吸引力が全く認められず、登録商標に類似する標章を使用することが第三者の商品の売り上げに全く寄与していないことが明らかなときは、得べかりし利益としての実施料相当額の損害も生じていないというべきである(小僧寿し事件 H9. 3. 11)

商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提 示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品 又は指定役務について、当該出願に係る商標の使用をした者のみならず、当該商標に類 似する商標の使用をした者に対しても、当該使用により生じた業務上の損失に相当する 額の金銭の支払を請求することができる。

×

  • 金銭的請求権について、登録商標に類似する商標の使用、又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用については、規定されていない。←13条の2第1項では規定されていない。
  • そのため、商標に類似する商標の使用をした者に対して、金銭的請求権を行使することができない。
  • 金銭的請求権の規定は、侵害とみなす行為(37条)を準用している(13条の2第5項)ため、商標登録出願に係る商標に類似する商標を使用した者に対しても、金銭的請求権を行使することができる。

【商標】6

商標登録出願の手続等に関し、次の(イ)~(ニ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合であって、 かつ、当該商標登録出願について商標法第76 条第2項の規定により納付すべき手数料を 納付している場合に限り、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登 録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。

×

  • 76条2項の規定による手数料とは、出願手数料。H30年改正で追加。
  • 商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合についても、分割出願可能(10条1項)であるため、問題文の期間に限らない。

(ロ)

同一の商品について使用をする同一の商標について同日に2以上の商標登録出願があ り、一の商標登録出願人を定めることについて商標登録出願人の間で協議が成立しなか ったときは、いずれの商標登録出願人も、その商標について商標登録を受けることがで きない。

×

  • 特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる(8条5項)

(ハ)

特許庁長官は、商標登録出願が商標法第5条の2第1項各号(出願日の認定要件)の 一に該当することを理由に当該商標登録出願について補完をすべきことを命じた者が指 定された期間内にその補完をしたときは、当該商標登録出願に係る手続補完書を提出し た日を商標登録出願の日として認定しなければならない。

  • 5条の2第1項各号、4項の規定通りである。

(ニ)

特許庁長官は、商標登録出願があったときは、出願公開をしなければならず、出願公 開においては、願書に記載した商標並びに指定商品又は指定役務を、例外なく商標公報 に掲載しなければならない。

×

  • 商標法には、出願公開(特64条)という制度はない。特許法と異なる。補償金請求権(特65条)と対になる制度である金銭的請求権(13条の2)はあるが、出願公開された後ではなく、商標登録出願をした後が要件となる。
  • 出願公開では、公開されない事項があるのに対し(64条2項但書き)、商標公報の掲載に関しては、掲載されない事項はない(18条3項)。出願書類及びその付属物件については縦覧に供しない場合がある(18条4項但書き)

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 商標 1~3

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【商標】1

商標の定義等(商標法第2条)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

商標の定義において、「立体的形状」とは、三次元の物の「形状」をいう。この「形 状」の語は、商標法第3条第1項第3号における「形状」の語と同義である。

  • 立体的形状とは、三次元の物の形状をいう。なお、3条1項3号おいて用いられている「形状」も同様の解釈である(青本 2条 字句の解釈)
  • 3条1項3号の商品の形状には、商品の立体的形状も含まれる(青本 3条1項3号)

商標の定義において、「色彩」は、独立して商標の構成要素となり得るが、ここでい う「色彩」は、白及び黒を含む。

  • H26年の一部改正により、「色彩のみ」が新たに商標の構成要素として認められた(青本 2条1項)
  • 色彩とは、白及び黒もここにいう色彩のうちに入る(青本 2条 字句の解釈)

商標の定義において、「証明」の語は、主として商品の品質又は役務の質を保証する ような場合を意味する。

  • 問題文の通りである(青本 2条 字句の解釈)

商標の定義規定(商標法第2条第1項)において、立体的形状の商標、色彩のみから なる商標、音の商標、ホログラムの商標、動きの商標及び位置の商標が、個別に明記さ れている。

×

  • ホログラムの商標、動きの商標及び位置の商標は、個別に明記されてず、その他政令で定めるものと規定されている(2条1項柱書)

商標の定義では、標章を単に商品・役務について「使用」するだけで商標である。し かし、商標法第1条、商標法第2条第1項、商標法第3条等の趣旨を総合すると、商標 は自他商品・役務の識別をその本質的機能としている。

  • 青本 2条 参考 商標の定義の記載通りである。

【商標】2

商標法上の「使用」又は「商品・役務」に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

会社の商号の略称について商標登録を受けている場合に、その会社自体の宣伝のため に、自社の商品や役務が記載されていない封筒にその登録商標を表示する行為は、当該 登録商標の「使用」に該当する。

×

  • 2条3項8号の取引書類とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等であり(青本 2条 字句の解釈)、封筒も含まれると考えられる。
  • 2条3項8号の射程は、標章を付して、展示し、若しくは頒布することであり、封筒に登録商標を表示する行為自体は、商標の使用に該当しない。

商標法第2条第3項に規定する「商品の包装」は、実際に商品を包むのに用いられて いない包装用紙も含む。

×

  • 包装とは、実際に商品を包むのに用いられていない包装用紙等は含まれない(青本 2条 字句の解釈)

ハンバーガー店が常時持ち帰り用として提供するハンバーガー等の料理は、商標法上 の「商品」といえるが、料亭が常連客に頼まれて特別に持ち帰ることができるよう用意 した料理は、商標法上の「商品」とはいえない。

  • 商品とは、商取引の目的たりえるべき物、特に動産をいう(青本 2条 字句の解釈)
  • 特別に持ち帰ることができるよう用意した料理が、無料であれば、「商品」とはいえず、有料であれば「商品」といえると思う。
  • 他の枝の関係から、無料であり、「商品」とはいえないのであろう。

商標法上の「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引 の目的たり得べきものをいうと一般に定義されるので、ボランティア等の無償の奉仕活 動も、商標法上の「役務」に含まれる。

×

  • 役務の定義については、青本 2条 字句の解釈を参考。
  • ボランティア等の無償の奉仕活動は、商取引の目的にならないため、「役務」に含まれないと思う。適当な説明文献が見当たらず。

商標法上の「商品」とは、 商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいうと一般に定 義されるので、書画や骨董品等も、商標法上の「商品」に常に含まれる。

×

  • 指定商品、指定役務検索で、骨董品は引っかからなかった。
  • 適当な説明文献が見当たらず。

【商標】3

商標登録出願における拒絶の理由に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

甲は、指定商品を「○○産のみかん」(「○○」は地域の名称)とする商標「○○み かん」について地域団体商標の商標登録を受けた。その後、他人乙は、指定商品「みか んジュース」について、甲の登録商標である「○○みかん」の文字を含む商標「○○み かん入り」の商標登録出願を行った。この場合、乙の商標登録出願が、商標法第4条第 1項第15 号の規定により拒絶されることはない。 ただし、「○○産のみかん」と「みかんジュース」は非類似の商品とする。

×

  • 商標「〇〇みかん入り」は、他人である甲のの業務に係る商品「〇〇産のみかん」と混同を生じるおそれがある商標に該当することがあり得るため、4条1項15号の規定により拒絶されることがないわけではない。

甲の商標登録出願に係る商標が、その出願の日後の出願に係る他人乙の登録防護標章 と同一の商標であって、当該防護標章登録に係る指定役務について使用をするものであ る場合、それを理由として当該商標登録出願は拒絶される。

  • 他人の防護標章登録に係る標章と同一の商標で、その防護商標登録に係る指定商品と同一の指定商品である商標登録出願は、先願であったとしても、拒絶される(4条1項12号)

甲は、品種Aについて、種苗法(平成10 年法律第83 号)第18 条第1項の規定によ る品種登録を受けた。この場合、品種Aの名称と同一の商標については、種苗法による 品種登録を受けた甲であれば、品種Aの種苗又はこれに類似する商品について商標登録 を受けることができる。

×

  • 種苗法18条1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であって、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するものは、品種登録を受けた者と、商標登録出願をする者が同一であったとしても、商標登録を受けることができない(4条1項14号)

音の商標が、商標法第3条第2項の規定により、使用をされた結果需要者が何人かの 業務に係る商品であることを認識することができる商標と認められた場合には、当該商 品が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標(商標法第4条第1項 第18 号)に該当することはない。

×

  • 3条2項に該当するものであったとしても、4条1項18号に該当するものであれば、商標登録を受けることはできない。
  • 3条2項により自他商品識別力を有するようになった商標についても、その商品等が当然備える特徴のみからなる商標である場合、商標登録することにより、半永久的に、独占排他権を有するようになり、自由競争を不当に阻害するおそれがあることから、商標登録を受けることができないように規定している。

いわゆる小売等役務に該当する役務を指定する商標登録出願において、当該出願に係 る商標がその小売等役務の取扱商品を普通に用いられる方法で表示する標章のみからな るものと認められても、それを理由として当該商標登録出願は拒絶されない。

×

  • 3条1項1号により、拒絶される。

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 意匠 7~10

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【意匠】7

意匠法第9条(先願)の適用に関し、次の(イ)~(ニ)のうち、誤っているものは、いくつ あるか。なお、意匠法第9条の該当性のみを判断し、他の登録要件は考慮しないこととす る。 また、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、 秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願 でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が 確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期 間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しな いものとする。

(イ)

甲が、意匠に係る物品を「一組の筆記具セット」として「万年筆」の意匠イが含まれ ている組物の意匠登録出願Aをした。その出願日後に、乙が、意匠イに類似する「万年 筆」の意匠ロについて意匠登録出願Bをした場合であって、意匠イを含む「一組の筆記 具セット」の意匠が意匠登録を受けたとき、意匠ロは意匠登録を受けることができない。

×

  • 先願の物品「一組の筆記具セット」に対し、後願の物品は「万年筆」のため、9条は適用されない。

(ロ)

甲が、「万年筆」の意匠イについて平成30 年8月1日に我が国を指定締約国とする ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠出願Aをし、同年8月7日に国際登 録され、平成31 年2月7日に国際公表された。乙が、平成30 年8月3日に、意匠イに 類似する意匠ロについて意匠登録出願Bをした場合、意匠ロは意匠登録を受けることが できない。

×

  • 国際意匠登録出願は、国際登録の日にされた意匠登録出願といなされる(60条の6第1項)
  • 国際意匠出願Aは、H30年8月7日に意匠登録出願したものとみなされるため、H30年8月3日に出願したBは、9条により拒絶されることはない。

(ハ)

甲が、「万年筆」の意匠イについて意匠登録出願Aをし、その出願日後に甲が、意匠 イに類似する意匠ロについて意匠登録出願Bをした場合、意匠ロは意匠登録を受けるこ とができないことがある。

  • 9条は、出願人が同一であっても適用されるため、出願Aの後願である出願Bは、出願Aを引例として9条の規定により拒絶される。

(ニ)

甲が、「万年筆」のキャップ部分を「部分意匠として登録を受けようとする部分」と する意匠イについて意匠登録出願Aをし、その出願日後に乙が、「万年筆」の軸部分を 「部分意匠として登録を受けようとする部分」とする意匠ロについて意匠登録出願Bを した。出願Aに出願Bの「万年筆」の軸部分が開示されている場合、意匠ロは意匠登録 を受けることができない

×

  • 物品が異なるため、出願Bは、出願Aを引例として9条の規定により拒絶されることはない。

【意匠】8

意匠登録無効審判に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

意匠登録が条約に違反してされたときは、何人も、意匠登録無効審判を請求すること ができる。

  • 何人も、意匠登録無効審判を請求することができる(48条2項)

意匠権の消滅後に、意匠登録無効審判が請求され、意匠法第3条第1項第3号に該当 するとして意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、初めから存 在しなかったものとみなされる。

  • 49条本文の規定通り。

本意匠の意匠権について、無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該本意匠に係 る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一 の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

  • 27条3項の規定通り。

意匠権について、専用実施権の登録がされている場合であって、当該意匠登録につい て、意匠登録無効審判の請求があったときは、審判長は、専用実施権者に、当該無効審 判請求があった旨の通知をしなければならない。

  • 48条4項の規定通り。

意匠登録無効審判で無効にした意匠登録に係る意匠権が、再審により回復したときは、 意匠権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における当該意匠の善意の 業としての実施にも及ぶ。

×

  • 55条1項の規定通り。

【意匠】9

意匠権の効力に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

甲は、意匠イについて、意匠権の設定の登録を受け、意匠ロについても、意匠イを本 意匠とする関連意匠として、意匠権の設定の登録を受けた。甲の意匠イに係る意匠権及 び意匠ロに係る意匠権は、それぞれの設定の登録により発生するが、意匠ロに係る意匠 権は、意匠イに係る意匠権の存続期間の満了を超えて存続することはない。

  • 21条2項の規定通り。関連意匠の意匠権の存続期間は、本意匠の意匠権の設定の登録の日から20年をもって終了する。
  • 本意匠が、登録料未納による消滅(44条4項)、無効にすべき旨の審決確定、又は放棄された場合、関連意匠の意匠権は存続する(22条2項)

甲は、動物の図柄の「湯飲み茶碗」の意匠イについて、意匠権の設定の登録を受けた。 その後、乙が、意匠イの動物の図柄と同じ図柄の「鍋」を製造販売した。甲は乙に対し て、意匠イに係る意匠権に基づいて権利行使をすることができる。

×

  • 物品が「湯飲み茶碗」と「鍋」で、物品非類似のため、権利行使をすることができない。

甲は、「はさみ」の意匠イについて出願し、その後、意匠イに類似する「はさみ」の 意匠ロを、意匠イを本意匠とする関連意匠として出願し、意匠イ、意匠ロともに意匠権 の設定の登録を受けた。その後、乙が、意匠ロには類似するが意匠イには類似しない意 匠の「はさみ」を製造販売した。甲は乙に対して、意匠ロに係る意匠権に基づいて権利 行使をすることができる。

  • 関連意匠は、本意匠と同じく、意匠権の効力を有している。また、意匠権の効力は、登録意匠に類似する範囲にまで及ぶ(23条)

甲は、共通の水玉模様を有する「せん茶茶碗」及び「きゅうす」を構成物品とする「一 組のせん茶セット」の意匠イについて、組物の意匠権の設定の登録を受けた。その後、 乙が、意匠イに含まれる「きゅうす」の意匠に類似する意匠の「きゅうす」を単体で販 売した。甲は乙に対して、意匠イに係る意匠権に基づいて権利行使をすることができな い。

  • 物品が「一組のせん茶セット」と「きゅうす」とで異なるため、権利行使をすることができない。

甲は、脚の形状に特徴のある「机」の意匠イについて、脚の部分を意匠登録を受けよ うとする部分として、意匠権の設定の登録を受けた。その後、乙が、意匠イの脚の形状 に類似する形状の脚を有する「椅子」を製造販売した。甲は乙に対して、意匠イに係る 意匠権に基づいて権利行使をすることができない。

  • 物品が「机」と「椅子」とで異なるため、権利行使をすることができない。

【意匠】10

意匠の実施権に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

甲は、意匠イについて意匠権の設定の登録を受けている。乙は、意匠イを知らないで これに類似する意匠ロの創作をした。乙は、甲の意匠イについての意匠権の設定の登録 の際に日本国内で意匠イに類似する意匠ロの実施である事業をしていたが、甲の意匠イ の出願時には外国のみで当該事業をしていた。乙は、意匠イに係る意匠権について通常 実施権を有することがある。

  • 乙が、甲の意匠イの出願時に、日本国内で事業の準備をしていれば、通常実施権を有する(29条)

甲は、意匠イについて意匠権Aを有している。乙が、意匠イの後願の意匠ロについて 意匠権Bの設定の登録を受けた。その後、意匠権Aは登録料が納付されず消滅したが、 意匠権Bは存続している。この場合、甲は、意匠イと意匠ロの双方に類似する意匠ハに ついて、業として実施をすることができる。

×

  • 登録料未納の場合、通常実施権を有することはない。
  • 甲は、乙の意匠権Bに係る意匠ロに類似する意匠ハについて、正当な理由、又は権原がないため、業として実施することができない(23条)

甲は、「自転車用ハンドル」の意匠イについて意匠権を有している。乙は、そのハン ドルを用いた「自転車」の意匠ロについて意匠権の設定の登録を受けた。その後、乙は、 丙に、意匠ロについての通常実施権を設定した。この場合、丙は、特許庁長官に対し、 意匠イについて通常実施権の設定をすべき旨の裁定を請求することができる。

×

  • 意匠法において、通常実施権の設定の裁定を請求することができる者は、意匠権者、及び専用実施権者であり、通常実施権者は請求できない(33条1項、3項)

甲は、意匠イについて意匠権を有している。乙は甲に対し、意匠イについての通常実 施権の許諾を申し入れたものの拒絶された。甲は意匠イを実施しておらず、第三者にも 実施を許諾していない。この場合、乙は、甲の意匠イの不実施を理由に、特許庁長官に 対し、意匠イについて通常実施権の設定をすべき旨の裁定を請求することができる。

×

  • 意匠法において、不実施の裁定は規定されていない。

意匠権者は、自己の登録意匠に類似する意匠のみについて、通常実施権を許諾するこ とはできない。

×

  • 意匠権者は、登録意匠に類似する意匠について、実施する権利を専有する(23条)。また、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる(28条1項)
  • そのため、自己の登録意匠に類似する意匠のみについても、通常実施権を許諾することができる。

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 意匠 4~6

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【意匠】4

意匠登録出願の分割及び出願の変更に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。

組物の意匠登録出願を、その組物を構成する物品の意匠ごとの意匠登録出願に分割で きる場合がある。

  • 組物の意匠であったとしても、二以上の意匠を包含するものと認められた場合、分割することができる(10条の2第1項)

特許出願から意匠登録出願への変更においては、いわゆる「部分意匠」の意匠登録出 願とすることができる場合がある。

  • できないという規定はない。

特許協力条約に基づく国際特許出願から意匠登録出願への変更は、国際特許出願が我 が国における特許出願として手続的に確定した後でなければできない。

×

  • 国際書面の提出(特184条の5第1項)、手数料の納付(195条2項)、外国語特許出願であれば翻訳文の提出(184条の4第1項)後に、意匠登録出願への変更ができる(13条の2第1項)
  • 特許出願として手続き的に確定した後とは、上述の手続きをした後、国内処理基準時(184条の4第6項)の属する日を経過した後であるため、手続き的に確定した後でなければならないわけではない。
  • 特許出願として手続き的に確定した後とは、上述の手続きをした後である。

ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく我が国を指定締約国とする国際出願は、そ の国際出願が2以上の意匠を含む場合、我が国において意匠ごとに出願を分割する手続 をしなければならない。

×

  • 我が国において、2以上の意匠を含む意匠登録出願はできない(7条)ため、意匠ごとにされた意匠登録出願とみなされる。(60条の6第1項、2項)
  • 意匠ごとに分割する手続きをしなければならないという規定はない。

意匠登録出願において、「使用状態を示す参考図」のみに記載された意匠を、意匠登 録出願の分割によって、新たな意匠登録出願とすることはできない。

  • 意匠権は、意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面から発生するため(6条1項柱書、24条1項)、「使用状態を示す参考図」にのみ記載された意匠を、分割出願することはできない。

【意匠】5

意匠法第3条第1項各号(新規性)及び意匠法第4条(新規性の喪失の例外)に関し、 次のうち、誤っているものは、どれか。なお、各設問で言及した条文の該当性のみを判断 し、他の登録要件は考慮しないこととする。 また、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、 秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願 でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が 確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期 間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しな いものとする。

意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする国際意匠登録出願の出願人は、意 匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至った意匠が意匠法第4条第2項の規 定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を、国際登録後であれば 国際公表前であっても、特許庁長官に提出することができる。

×

  • 国際意匠登録出願について、日本国が指定国であり、国際公表されたものは、国際登録の日にされた意匠登録出願とみなされる(60条の6第1項)
  • 新規性の喪失の例外について、例外を受ける旨を記載した書面、及びその証明書面を、国際公表があった日後、経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる(60条の7)
  • 意匠登録出願とみなされた後でないと、新規性喪失の例外について、請求することができない。

甲は、互いに類似する意匠イ及び意匠ロを公知にした後、意匠イについて、意匠法第 4条第2項の適用を受けようとする旨を記載して意匠登録出願Aをし、出願日から30 日以内に意匠イのみについて、意匠法第4条第3項に規定する証明書を提出した。出願 Aは、意匠ロの存在を理由に、意匠法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶される。

  • 意匠ロについて、新規性の喪失の例外の規定を受けていないため、意匠ロを引例として3条1甲3号で拒絶される(17条1号)

甲は、意匠イを創作して、ある日の朝に意匠イをインターネットの自己のサイトで公 開した。その日の夕方に意匠イについて意匠登録出願Aをした。甲は、意匠イについて 意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるための手続をしていなければ、出願Aは、意 匠法第3条第1項第2号に該当するとして拒絶される。

  • 3条1項各号は、時分を考慮する。

甲は、意匠イを創作して、展示会で自らの名前で意匠イを公開した。その後、甲は、 乙に意匠登録を受ける権利を譲渡して、乙が意匠イについて意匠登録出願Aをした。こ の出願に際し、乙は意匠法第4条第2項の適用を受けようとする旨の主張をして、かつ 甲が意匠イを公開した旨の証明書を出願日から30 日以内に提出した。出願Aは、甲が 展示会で意匠イを公開した事実を理由に、意匠法第3条第1項第1号に該当するとして 拒絶されることはない。

  • 4条3項の手続きは、意匠登録を受ける権利の譲渡人が公開した場合であっても、譲受人もすることができる(4条3項)

甲は、形状、模様及び色彩からなる意匠イを創作して、その後、意匠イを展示会で公 開した。その後、甲は、意匠イから模様及び色彩を除いた形状のみの意匠ロについて、 意匠登録出願Aをした。出願Aは、意匠イについて意匠法第4条第2項の規定の適用を 受けるための手続をすれば、意匠イを公開した事実を理由に、意匠法第3条第1項第3 号に該当するとして拒絶されることはない。

  • 4条3項の手続きにより、形状、模様及び色彩からなら意匠イを引例として3条1項、及び2項で拒絶されなくなる。

【意匠】6

意匠登録出願の補正及び補正の却下等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正が これらの要旨を変更するものであるとして補正を却下する決定があったとき、審査官は、 その決定の謄本の送達があった日から意匠法に定められた期間を経過するまでは、当該 意匠登録出願について審査を中止しなければならない。

×

  • 補正却下の決定の謄本の送達後、3月以内は、査定をしてはならない(17条の2第3項)。審査を中止しなければならないわけではない。
  • 新出願をする場合、審査を中止しなければならない。
  • 補正却下不服審判を請求した時(47条)は、その審判の審決確定まで、審査を中止しなければならない(17条の2第4項)

審査官は、決定をもって補正を却下しようとするときは、あらかじめその理由を書面 で通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

×

  • 意見書の提出機会は与えられない。

願書に添付する図面に代えて写真、ひな形又は見本を提出した場合、願書に記載した 「写真、ひな形又は見本の別」の記載のみを変更する補正は、いかなる場合も願書の記 載の要旨を変更するものとされることはない。

×

  • 要旨変更とみされる場合がある。
  • 問題文の通り。

意匠審査基準 H29年改正

82.1.2.2 要旨変更とならない補正の類型

  • 82.1.2.2.1 その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲のものに訂正する場合。
  • 82.1.2.2.2 意匠の要旨の認定に影響を及ぼさない程度の微細な部分の記載不備を不備のない記載に訂正する場合
  • 問題文は、82.1.2.2.1の類型だと思われる。

意匠登録出願人は、願書に添付した図面についてした補正がその要旨を変更するもの であるとして却下された場合、補正の却下の決定の謄本の送達があった日から意匠法に 定められた期間内に限り、図面について再度の補正をすることができる。

×

  • 事件が審査、審判又は再審に係属している限り、その補正をすることができる(60条24)
  • 補正却下の決定の謄本の送達日から法廷期間内に限りできるわけではない。

補正の却下の決定の謄本の送達があった日から意匠法に定められた期間を経過した後 は、意匠登録出願人はその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をすることはでき ない。

×

  • 17条の3第1項の規定の他、17条の4第1項の規定により、新たな意匠登録出願をすることができる。

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 意匠 1~3

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【意匠】1

意匠法における意匠に関し、次の(イ)~(ニ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

(イ)

縁(ふち)に模様が施された茶碗について、意匠に係る物品を「茶碗の縁」として意 匠登録を受けることができる。

×

  • 意匠に係る物品は、それのみで通常の取引状態において独立の製品として取り引きされるものである必要があるところ、「茶碗の縁」はそれ単体で取引の対象とならないため、意匠に係る物品とならず、意匠登録を受けることができない(3条1項柱書、意匠審査基準H29年改正 21.1.1.1.(2)④)

(ロ)

タオルをバラの花に似せて折り畳んだ形状は、意匠に係る物品「タオル」の意匠とし て意匠登録を受けることができる。

×

  • 意匠は、物品の形態であることから、物品自体の形態と認められないものは、意匠とは認められないところ、タオルをバラの花に似せて折り畳んだ形状は、物品「タオル」の本来の形状でないため、意匠として認められず、意匠登録を受けることができない(3条1項柱書、意匠審査基準 H29改正 21.1.1.2(2))

(ハ)

電波受信機能付き置き時計の内部構造で、分解しなければ視認できないアンテナの形 状は、意匠に係る物品「置き時計」の部分として意匠登録を受けることができない。

  • 意匠とは視覚を通じて美感を起こさせるものであるところ(2条1項)、分解しなければ視認できないものは、意匠として認められない。

(ニ)

その大きさが、縦0.4 ミリメートル、横3ミリメートル、厚さ0.1 ミリメートルであ って、肉眼によっては細部を認識できない電気接続端子の形状、模様若しくは色彩又は これらの結合について、意匠登録を受けることができる場合はない。

×

  • 取引時に拡大鏡等により形状を拡大して観察することが通常である場合、必ずしも肉眼により認識することができる必要はなくても、「視覚を通じて美感を起こさせるもの」に当たると解する。``(3条1項柱書、平成17年(行ケ)第10679号審決取消請求事件)""
  • 審査基準に記載していない。探すのが大変だった。試験として出したのだから、審査基準に加えてくれてもいいと思う。

【意匠】2

秘密意匠に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

甲は、意匠イについて意匠登録出願Aをした。甲は、出願Aの出願と同時に意匠イを 秘密にすることを請求しなかったが、出願後に秘密にすることを希望する場合には、出 願Aの登録料の納付時までいつでも、秘密にすることを請求できる。

×

  • 出願と同時に、又は第1年分の登録料の納付と同時に請求することができる(14条2項)
  • 登録料の納付時までいつでも請求することができるわけではない。

秘密にすることを請求した意匠について、意匠権の設定の登録があったときに発行さ れる意匠公報であって、秘密にすることを請求する期間が経過する前に発行される意匠 公報には、意匠権者の氏名又は名称及び住所又は居所、意匠登録出願の番号及び年月日、 登録番号及び設定の登録の年月日、願書に記載された意匠に係る物品が掲載される。

×

  • 秘密意匠の場合、願書、及び願書に添付された書面は掲載されない(20条4項、20条3項4号)
  • そのため、願書に記載された意匠に係る物品(6条1項3号)は、掲載されない。
  • 願書の記載事項である、出願人、及び創作者(6条1項1号、2号)も、掲載されない。

甲は、3年の期間を指定して秘密にすることを請求した意匠について意匠登録を受け た。甲は、秘密の期間が残り1年を切った時点で、秘密の期間を1年間延長することを 請求できる。

×

  • 秘密にできる期間は、意匠登録を受けた時 意匠権の設定の登録の日から3年の期間である(14条1項)
  • 3年間の期間を指定しているため、それ以上の延長はすることができない。

特許庁長官は、裁判所から請求があったときであっても、秘密にすることを請求され た意匠について、その意匠権者の承諾を得なければ、裁判所に示すことができない。

×

  • 特許庁長官は、意匠権者の承諾を得ることなく、裁判所に示す(14条4項3号)
  • その後、意匠権者に、そのことを通知する。 その後、意匠権者に通知することはない。規定にない。
  • 14条4項以外に、何人も、特許庁長官に対し、秘密意匠に関する書類の交付を請求することができる(63条1項2号)
  • 特許庁長官は、必要があると認めるときは、請求を認めない(同項柱書の但書き)
  • 特許庁長官は、請求を認めるときは、その書類を提出した者にその旨、及びその理由を通知する(同条2項)
  • 特許庁長官が、意匠権者の承諾を得て、秘密意匠に関する書類を提示することはない。

ハーグ協定のジュネーブ改正協定に規定する国際意匠登録出願の出願人は、その意匠 を我が国における秘密意匠(意匠法第14 条)とすることを、請求することができない。

  • 国際意匠登録出願において、秘密意匠は準用されていない(60条の9)

【意匠】3

意匠法に規定する登録要件に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。なお、各設 問で言及した条文の該当性のみを判断し、他の登録要件は考慮しないこととする。 また、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、 秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願 でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が 確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期 間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しな いものとする。

甲は、受信用の反射鏡に支持具を取り付けた「パラボラアンテナ」の意匠イを創作し て、意匠イの全体意匠と、意匠イの「反射鏡の部分」のみを「意匠登録を受けようとす る部分」とした部分意匠「パラボラアンテナ」の意匠ロを出願した。意匠ロは「技術的 な機能を確保するために必然的に定まる形状である」とされ、その出願は、意匠法第5 条の規定により拒絶された。この場合、意匠イに係る出願は、意匠法第5条の規定に該 当することを理由としては拒絶されないことがある。

×

  • 「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠」は、意匠登録を受けることができない(5条3号)
  • ここで、意匠イは反射鏡及び支持具からなるものであり、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなるものでないので、意匠登録を受けることができる場合もある。
  • 5条3号に該当するためには、形状のみからなる必要がある。

甲が、「のこぎり」の意匠イについて意匠登録出願Aをした後に、乙は意匠イの「の こぎり」を構成する「のこぎりの柄」に類似する「のこぎりの柄」の意匠ロについて意 匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。この場合、 意匠ロの出願Bは、意匠イの存在を理由に、意匠法第3条の2の規定に該当するとして 拒絶される。

  • 3条の2の規定通り。

甲及び乙が共同で「カメラ」の意匠イについて意匠登録出願Aをした後に、甲は単独 で意匠イのカメラに取付けられた「レンズ」の意匠に類似する「レンズ」の意匠ロにつ いて意匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。こ の場合、意匠ロの出願Bについて出願人名義変更をして甲及び乙の共同の出願としなく ても、意匠法第3条の2の規定に該当することを理由としては拒絶されることはない。

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  • 共同の出願としなくても、出願後、査定謄本の送達時又は拒絶理由の通知時までに、共同出願となるように届け出をすれば、拒絶されることはない。
  • 3条の2の規定により拒絶されるらしい。

甲が、「腕時計のバンド」の意匠イについて、意匠登録出願Aをした後に、乙は意匠 イに類似する「腕時計のバンド」を時計本体に組み込んだ「腕時計」の意匠ロについて 意匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。出願B は意匠イの存在を理由に、意匠法第3条の2の規定により拒絶されることはない。

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  • 出願Bの意匠ロは、先の出願Aの意匠イの一部ではないため、3条の2の規定により拒絶されることはない(3条の2)

甲は、「鍋ぶた」をデパートで販売した。その後、乙は甲の「鍋ぶた」に取り付けら れている「摘み(つまみ)」に類似する「摘み」の意匠イを創作し、意匠イについて「鍋 ぶたの摘み」の意匠登録出願Aをした。この場合、出願Aは、甲が「鍋ぶた」を販売し た事実を理由に、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当するとして拒絶される。

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  • 出願Aの物品は「摘み」であるため、公知の「鍋ぶた」の部品である「摘み」に類似いていることをもって、3条1項3号で拒絶されない。
  • 3条2項により、拒絶される。
  • 3条1項3号により、拒絶されるらしい。