令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 商標 1~3

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【商標】1

商標の定義等(商標法第2条)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

商標の定義において、「立体的形状」とは、三次元の物の「形状」をいう。この「形 状」の語は、商標法第3条第1項第3号における「形状」の語と同義である。

  • 立体的形状とは、三次元の物の形状をいう。なお、3条1項3号おいて用いられている「形状」も同様の解釈である(青本 2条 字句の解釈)
  • 3条1項3号の商品の形状には、商品の立体的形状も含まれる(青本 3条1項3号)

商標の定義において、「色彩」は、独立して商標の構成要素となり得るが、ここでい う「色彩」は、白及び黒を含む。

  • H26年の一部改正により、「色彩のみ」が新たに商標の構成要素として認められた(青本 2条1項)
  • 色彩とは、白及び黒もここにいう色彩のうちに入る(青本 2条 字句の解釈)

商標の定義において、「証明」の語は、主として商品の品質又は役務の質を保証する ような場合を意味する。

  • 問題文の通りである(青本 2条 字句の解釈)

商標の定義規定(商標法第2条第1項)において、立体的形状の商標、色彩のみから なる商標、音の商標、ホログラムの商標、動きの商標及び位置の商標が、個別に明記さ れている。

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  • ホログラムの商標、動きの商標及び位置の商標は、個別に明記されてず、その他政令で定めるものと規定されている(2条1項柱書)

商標の定義では、標章を単に商品・役務について「使用」するだけで商標である。し かし、商標法第1条、商標法第2条第1項、商標法第3条等の趣旨を総合すると、商標 は自他商品・役務の識別をその本質的機能としている。

  • 青本 2条 参考 商標の定義の記載通りである。

【商標】2

商標法上の「使用」又は「商品・役務」に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

会社の商号の略称について商標登録を受けている場合に、その会社自体の宣伝のため に、自社の商品や役務が記載されていない封筒にその登録商標を表示する行為は、当該 登録商標の「使用」に該当する。

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  • 2条3項8号の取引書類とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等であり(青本 2条 字句の解釈)、封筒も含まれると考えられる。
  • 2条3項8号の射程は、標章を付して、展示し、若しくは頒布することであり、封筒に登録商標を表示する行為自体は、商標の使用に該当しない。

商標法第2条第3項に規定する「商品の包装」は、実際に商品を包むのに用いられて いない包装用紙も含む。

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  • 包装とは、実際に商品を包むのに用いられていない包装用紙等は含まれない(青本 2条 字句の解釈)

ハンバーガー店が常時持ち帰り用として提供するハンバーガー等の料理は、商標法上 の「商品」といえるが、料亭が常連客に頼まれて特別に持ち帰ることができるよう用意 した料理は、商標法上の「商品」とはいえない。

  • 商品とは、商取引の目的たりえるべき物、特に動産をいう(青本 2条 字句の解釈)
  • 特別に持ち帰ることができるよう用意した料理が、無料であれば、「商品」とはいえず、有料であれば「商品」といえると思う。
  • 他の枝の関係から、無料であり、「商品」とはいえないのであろう。

商標法上の「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引 の目的たり得べきものをいうと一般に定義されるので、ボランティア等の無償の奉仕活 動も、商標法上の「役務」に含まれる。

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  • 役務の定義については、青本 2条 字句の解釈を参考。
  • ボランティア等の無償の奉仕活動は、商取引の目的にならないため、「役務」に含まれないと思う。適当な説明文献が見当たらず。

商標法上の「商品」とは、 商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいうと一般に定 義されるので、書画や骨董品等も、商標法上の「商品」に常に含まれる。

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  • 指定商品、指定役務検索で、骨董品は引っかからなかった。
  • 適当な説明文献が見当たらず。

【商標】3

商標登録出願における拒絶の理由に関し、次のうち、正しいものは、どれか。 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

甲は、指定商品を「○○産のみかん」(「○○」は地域の名称)とする商標「○○み かん」について地域団体商標の商標登録を受けた。その後、他人乙は、指定商品「みか んジュース」について、甲の登録商標である「○○みかん」の文字を含む商標「○○み かん入り」の商標登録出願を行った。この場合、乙の商標登録出願が、商標法第4条第 1項第15 号の規定により拒絶されることはない。 ただし、「○○産のみかん」と「みかんジュース」は非類似の商品とする。

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  • 商標「〇〇みかん入り」は、他人である甲のの業務に係る商品「〇〇産のみかん」と混同を生じるおそれがある商標に該当することがあり得るため、4条1項15号の規定により拒絶されることがないわけではない。

甲の商標登録出願に係る商標が、その出願の日後の出願に係る他人乙の登録防護標章 と同一の商標であって、当該防護標章登録に係る指定役務について使用をするものであ る場合、それを理由として当該商標登録出願は拒絶される。

  • 他人の防護標章登録に係る標章と同一の商標で、その防護商標登録に係る指定商品と同一の指定商品である商標登録出願は、先願であったとしても、拒絶される(4条1項12号)

甲は、品種Aについて、種苗法(平成10 年法律第83 号)第18 条第1項の規定によ る品種登録を受けた。この場合、品種Aの名称と同一の商標については、種苗法による 品種登録を受けた甲であれば、品種Aの種苗又はこれに類似する商品について商標登録 を受けることができる。

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  • 種苗法18条1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であって、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するものは、品種登録を受けた者と、商標登録出願をする者が同一であったとしても、商標登録を受けることができない(4条1項14号)

音の商標が、商標法第3条第2項の規定により、使用をされた結果需要者が何人かの 業務に係る商品であることを認識することができる商標と認められた場合には、当該商 品が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標(商標法第4条第1項 第18 号)に該当することはない。

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  • 3条2項に該当するものであったとしても、4条1項18号に該当するものであれば、商標登録を受けることはできない。
  • 3条2項により自他商品識別力を有するようになった商標についても、その商品等が当然備える特徴のみからなる商標である場合、商標登録することにより、半永久的に、独占排他権を有するようになり、自由競争を不当に阻害するおそれがあることから、商標登録を受けることができないように規定している。

いわゆる小売等役務に該当する役務を指定する商標登録出願において、当該出願に係 る商標がその小売等役務の取扱商品を普通に用いられる方法で表示する標章のみからな るものと認められても、それを理由として当該商標登録出願は拒絶されない。

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  • 3条1項1号により、拒絶される。