令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題 19、20

令和元年弁理士試験 短答式筆記試験問題

【特許・実用新案】19

訂正審判、特許無効審判における訂正の請求に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っている ものは、いくつあるか。

(イ)

特許無効審判の審決取消訴訟において、訂正の請求がされた一群の請求項のうち一部 の請求項についての審決の取消しの判決が確定したときは、審判官は、審理を行うに際 し、当該一群の請求項のうちその他の請求項についての審決を取り消さなければならな い。

  • 181条2項の規定通り。

(ロ)

外国語書面出願に係る特許の特許無効審判において、誤記又は誤訳の訂正を目的とし て訂正を請求する際には、その訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図 面とみなされる外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内においてしなければならな い。

×

  • 外国語書面の範囲内においてしなければならない(134条の2第9項で、126条5項を準用)

(ハ)

特許無効審判において、訂正の請求が認容されて削除されることとなった請求項に対 してされていた特許無効審判の請求は、その特許無効審判の請求が不適法な請求である ため、却下される。

×

  • この場合、無効審判の請求の棄却審決がされる(157条)
  • 不適法な審判請求の審決による却下(135条)とは、在外者が審判請求をすることや請求期間経過後に審判請求することが挙げられる。

(ニ)

訂正審判は、2以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合 には、請求項ごとに(当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項 ごとに)請求をしなければならず、特許権を単位として請求をすることはできない。

×

  • 訂正審判は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに請求をすることができる(126条3項)のであって、請求項ごとにしなければならないわけではない。また、特許権を単位として請求をすることができないという規定もない。

(ホ)

特許権者は、質権者及び特許法第80 条第1項(無効審判の請求登録前の実施による通 常実施権)の規定による通常実施権者があるときは、両者の承諾を得た場合に限り、特 許無効審判において訂正の請求をすることができる。

×

  • 80条1項の通常実施権者の承諾は必要ない。
  • 専用実施権者、質権者、35条1項の通常実施権者、77条4項の通常実施権者、78条1項の通常実施権者がある場合、承諾が必要(134条の2第9項で準用する127条)

注意点

  • 公開されている解答は、誤っているものが3つとのことである。どれかが間違っているはずであるが、よく分からない。

【特許・実用新案】20

特許法及び実用新案法に規定する罰則等に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、物の特許発明におけるその物又はその 物の包装にその物の発明が特許に係る旨の表示を付することが義務付けられている。

×

  • 努力目標(187条)

特許が物の発明についてされている場合において、当該特許権につき適法に実施する 権利を有さない者が、その物を業としての譲渡のために所持する行為を行った場合、懲 役や罰金に処せられることはない。

×

  • 関節侵害の行為(101条3号)であるため、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科する(196条の2)

物の特許発明におけるその物であれば、当該特許を無効にすべき旨の審決が確定した 後に、「特許」の文字と当該特許の特許番号をその物に付して譲渡しても、懲役や罰金 に処せられることはない。

×

  • 虚偽表示した物を譲渡する行為は禁止されており(188条2号)、違反した場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(198条)

実用新案権特許権と異なり実体審査を経ずに登録されるから、実用新案法には、詐 欺の行為により実用新案登録を受けた者を、懲役や罰金に処する旨の規定はない。

×

  • 実用新案において、詐欺の行為により実用新案登録を受けた者は、一年以下の懲役又は100万円以下の罰金(実57条)

特許権の侵害に係る訴訟において、被告製品が当該特許権を侵害するとして敗訴した 被告が、その訴訟の終局判決が確定した後に、同一の被告製品を型番のみを変更して販 売した場合、懲役や罰金に処せられることがある。

  • 特許権の侵害であれば、懲役や罰金に処せられる(196条)
  • 問題の意図がよく分からない。民事事件の後で、刑事事件として取り上げられることがあるかを問いたかったのか?