H30 論文 特許

設問 2

下記の相談を受けた弁理士Aの立場から、設問に記載された事実のみを前提として、以 下の各設問に答えよ。 ただし、設問中の特許権P及びQについて無効理由は考慮する必要はない。

(2) 【平成29 年9月中旬 甲からの相談②】

 弁理士Aは、甲から新製品Xの製造販売に関して相談を受けた。
 甲によれば、「丙が有する特許権Pは、平成29 年11 月30 日で存続期間が満了することから、(ハ)平成29 年11 月1 日から新製品Xを国内で製造し、(ニ)平成29 年12 月1日から新製品Xを国内で販売する予定である。」とのことであった。
 上記(ハ)製造行為、及び(ニ)販売行為が、特許権Pの侵害になるか否か、理由を付して、それぞれ分けて説明せよ。

解答例

設問(ハ)について

 侵害とは、権限等を有しない第三者が業として特許発明を実施することである(68条)。  実施するとは、特許発明を製造、販売する行為である(2条3項1号)。  甲は、特許権Pに関して権限などを有していない。また、新製品Xを国内で製造する行為は、業としての特許発明を実施する行為である。
 ここで、特許権Pは平成29年11月30日で存続期間が満了することから、平成29年11月1日から平成29年11月30日までの製造行為は、特許権Pの侵害となるが、平成29年12月1日からの製造行為は、侵害とならない。

設問(ニ)について

 特許権Pは平成29年11月30日で存続期間が満了することから、平成29年12月1日からの販売行為は、特許権Pの侵害とならない。

所感

 設問(ニ)について、(ハ)で製造した特許発明を平成29年12月1日以降に販売した場合、特許権侵害になるような気がするが、実際どうなるか、よく分からない。何か判例があるかもしれない。知財の常識として誰も教えてくれないような気もする。